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医療・介護現場レポート
〜おひさま通信〜
おむつゼロ施設での取り組みについて
社会福祉法人正吉福祉会 まちだ正吉苑様
東京都町田市成瀬の桜の名所「恩田川」沿いの閑静な住宅地に平成24年5月にオープンしたユニット型の特別養護老人ホームです。開設当初から現在に至るまで「おむつゼロ」での施設運営を維持しており、ご利用者様が尊厳を持って自分らしく、その能力に応じて自立した日常生活が送れるよう、自立を支援するサービス提供を目指しています。また、ご利用者が住み慣れた地域、暮らしたい場所で生活し続けられるように、施設サービスと在宅サービスが協働して「自立支援ケア」に取組んでいるのが特徴の法人です。
入所した日からおむつは外します
「入澤生活相談員」
入所する際、おむつをされている方が多いですが、当施設では入所したその日から布パンツを履いていただきます。殆どの方は事前に見学に来られていますので、見学時におむつゼロの取組についてご説明すると、「ぜひこちらの施設に申し込みたい!」とおっしゃっていただく事も多いです。
入所前の面談の時にも、ご家族へパンフレットを基にケアについてしっかり説明をさせていただいております。
始めはおむつを外し布パンツで過ごすことに「職員の方にご迷惑をかけるのでは?」と心配される方もおりますが、トイレでの排泄を行なうにあたり、水分摂取、歩行、お薬に頼りすぎ
ない自然排便に食物繊維のサプリメントを活用している事をご説明し、理解いただいております。
自立支援ケアを維持する為に
「入澤生活相談員」
始めに私達が自立支援ケアを行う上でベースとなります「介護理論」について、簡単に説明をさせて頂きます。
私達が取組んでいるケアは、国際医療福祉大学大学院の竹内孝仁教授が提唱している介護理論に基づいています。
そして、その理論の中で基本となるケアは「水分・食事・運動・排泄」の4つのケアになります。
おむつを使用しない施設を維持するためには、この4つのケアはもちろん施設方針を明確にして、全体で取組む事が重要です。施設全体が一丸となって、同じ目標に向かう必要があります。
その為にスタッフには、訪問看護、デイサービス、特養など職場も、職種も関係なく、毎月1回研修会を行なっております。そこで自立支援ケア、法人理念の説明を行います。
それとは別に、特養のスタッフには丸1日かけて自立支援ケアの勉強会も行なっております。
このように研修や勉強会を重ねることで、施設全体が同じ目標を持って取組んでいるので、おむつゼロ状態を維持できているのではないかと思います。
水分の知識
「山崎介護士」
4つの基本ケアの中でも一番力をいれているのは「水分」です。しかし水分を進んで飲む方は少ないです。
起床時は皆さん比較的一番飲んでいただけるので、水分プランもなるべく午前中に飲むようなプランを立てております。
「美味しいよ」とかの声かけはもちろん、食物繊維を入れたお茶の提供時は「からだにいいお茶だよ」と声かけをしています。
気分転換も重要なポイントなので、フロアを1周して「動いたから飲もうか」など飲んでいただく工夫をしています。
「林看護師」
容器を変えると飲む方もいらっしゃいます。
普通のカップに2 0 0 ccを入れてしまうと、見た目だけで多く感じて飲まない方が、小さいカップに少量ずつでお出しすると飲んでいただける事も。
あとはその場に居合わせたメンバーで乾杯をして楽しみながら飲んでいただいたりもしております。
「山崎介護士」
いくらケアのためにとは言え、ただ1500cc飲ませる!という考えではこちら側(スタッフ)の都合になってしまいます。今は気分が優れないとおっしゃる方に、目標だから飲ませなきゃ!ではなくご本人が元気に過ごしていただける事が一番と考えております。
飲ませる事が目標ではなく、しっかりと水分を摂っていただく事で、意識もはっきりとして覚醒してきます。気持ちよく飲んでいただき、あくまでも本人が元気に過ごしていただける事が目指すところなのです。
食事の工夫
「入澤生活相談員」
自立支援ケアには食事も大事になってきます。
他のご施設でも行なっていると思いますが、食器の工夫もその中のひとつです。個別対応も柔軟に行なっております。
ワンプレートで提供すると召し上がる方もいらっしゃいますし、ご飯も一度に必要量をお出しするとお腹がいっぱいとおっしゃって食べない方も、小分けに提供すると食べていただける方もいらっしゃいます。
お食事はユニットで管理しているので、その方の食べやすい大きさにカットする個別対応も行なっております。ご家族に協力を頂いて、ふりかけや佃煮など好みのものをご持参いただく事もございます。
食物繊維の活用
「入澤生活相談員」
入所前の面談の際、食物繊維の活用について説明をし、ご希望いただいた方には提供をさせていただいております。
当施設で使用している食物繊維は、病院でも広く採用されている「グアーガム分解物(PHGG)」という高発酵性の水溶性食物繊維が原料のサプリメントです。
始めは使用されていない方でも、ケアをしていく中でこの方には必要かな?と思う方にはお試しで使用し、改善状況をご家族に報告すると、是非食物繊維を使用してくださいと言っていただけます。
現在はご利用者様の8~9 割の方が使用しています
「林看護師」
対象者にはPHGGを1日15gからスタートしております。下剤を使用されている方は併用し、改善されてきたら医師と相談の上、下剤の量を減らしていきます。ただ、ユニットごとにアプローチは異なり、最初から下剤を中止する場合もあります。
看護とユニットリーダーで相談しながら排便チェック表を基に医師と相談の上決めていきます。
「入澤生活相談員」
PHGGはお茶に入れて提供しています。お食事ですと残してしまった場合、衛生上再度提供する事ができないですし、何グラム摂っていただいたかの管理が煩雑になりがちです。
お茶ですと少量づつの提供で残すことも少ないですし、何グラム取れたかも解りやすいと思います。
PHGGを活用する事により下剤を使用されている方も減少傾向にあります。
座薬や摘便はご利用者様にとって痛みや不快を伴うため、今後もPHGGをうまく活用しながらケアを継続していきたいと思っております。
楽しく過ごして いただく為に
特養だけでなくデイサービスも行なっておりますが、インフルエンザが流行った時期も殆どの方が休まず利用いただいているので、ケアがしっかり出来ている事なのでは?と感じております。
現在は新規の方にお待ちいただいている程、デイサービスも大盛況です。
施設では季節ごとのイベントもございますが、ユニット単位での小さいイ
ベントも盛んに行なっております。
その中でも居酒屋は大変好評で、カラオケも歌レクとは違う楽しさがあるようです。
ボランティアの方々にお願いし、書道や生け花も不定期で開催しております。こういった物だけではなく、習い事のように定期的に提供していけたらと検討中です。
ボランティアは大人の方だけでなく、職員のお子様が学校が休みに入ると施設の仕事のお手伝いを申し出てくれます。ご利用者様もお子様が居るととても元気をもらえると言って、楽しみにしているひとつです。
今後も楽しく安心して過ごせるような介護を提供していきたいと思います。
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