陸上競技長距離ランナーにおける「腸内環境」に着目したコンディショニング
マツダ陸上競技部 定方駿選手
おひさま通信NEW23
2022-11-16
今シーズン(2022年)、5000mとハーフマラソンで自己ベスト記録を更新、2022年7月の函館ハーフマラソンでは日本人トップの2位と大躍進の定方選手にその理由と「長距離ランナーにおける腸内環境の重要性」について伺いました。

Q.定方選手は排便に関するお悩みがあったと伺いましたが、詳しく教えていただけますか?
【定方選手】
私もそうでしたが、「排便」に問題やお悩みを抱えている長距離ランナーがたくさんいると思います。私自身、陸上競技を始めた中学生の頃から軟便や下痢があり、それが習慣となり「お腹がゆるいのが当たり前」と思っていました。練習の前にトイレを済ませる選手も多くいますが、それでも練習が開始してからもトイレに駆け込むこともあり、腹痛や便意に怯えながら練習に取り組んでいる人が結構いたことを覚えています。特に強度の高い練習の時には便意を強く感じたり、腹痛が生じやすかったりしました。また、ロードを長時間走る時は、コース上のどこにトイレがあるのか事前に調べ、駆け込めるように対処したりして練習に取り組んでいました。トイレに行って遅れた時間を取り戻すのも、トレーニングの一環だと思って走りました。また、試合では緊張も一因となり、スタート直前まで何度もトイレに行っていました。実業団に入ってからも、走る事と「排便問題」がいつも隣り合わせで、ずっとこれが続くのだと思っていました。
カラダづくりのために、学生時代からご飯の量は毎食250~300g食べ、プロテインやゼリー飲料を積極的に摂っていました。走りに必要な体力と筋力をつけるために食事も頑張って食べていましたが、どちらかと言えば虚弱体質で走りに必要な筋肉が思うように付きませんでした。軟便や下痢が原因で食べた栄養素が十分に吸収されずに活用できていない状態だったと思います。どんなに良い物を食べても、通過してしまっていたようです。
Q.グアーガム分解物を摂取し始めたきっかけを教えてください
【定方選手】
大学卒業後、2020年4月にマツダ株式会社に入社し、陸上競技部に入部しました。現在も当陸上部をサポートしてくださっている、神奈川県立保健福祉大学・鈴木志保子先生との面談の中で、1日に7~8回もトイレに行き、お腹がゆるいことが「当たり前ではない」と指摘され、驚きました。競技を始めた頃からずっと同じ状態でしたし、周りも同じような人が多かったので、今まで全く気にしていませんでした。
その後、食事量の調整や摂取する食べ物等について検討したものの、あまり改善が見られず、原因も分からないので悩んでいました。そんな折に、鈴木先生よりグアーガム分解物に酪酸菌を配合したサプリメントを紹介いただき、摂取し始めました。
Q.グアーガム分解物を摂取していかがでしたか?
グアーガム分解物を1包/日摂取したところ、1日に10回程、下痢をしてしまい、さらに腹痛が生じてしまいました。良質な食物繊維が一気にたくさんお腹に入ったので、お腹がびっくりしてしまったようです。一度、休止期間を設け、鈴木先生やメーカーの方にも摂取方法や摂取量などについて確認し、1日あたり1包を1/3に分けて飲み始めました。継続して摂取することで、徐々に便の性状が整い、お腹が緩くなることも少なくなり、また、排便回数も減少したので効果を実感することができました。また、「継続することが大事」と考えて飲み続けました。
その後、排便状況も更に改善してきたので、1日あたり1/2包に増量しました。その結果、以前よりも便の性状が整い、排便や腹痛の回数も減少しました。今でもいい状態を維持するために、欠かさずに摂取しています。強度の高い練習やレースでも排便や腹痛に悩まされることが少なくなったことで、集中して取り組むことが出来るようになりました。摂取量を調整しながら、自分に合った適正量を見つけて継続することが大切だと感じております。

Q.排便状況の改善以外に何か体感されましたか?
まず、なかなか増えなかった体重が増加しました。グアーガム分解物を摂取する前は、54㎏程度でしたが、現在では56㎏まで増えました。自分でも筋肉が付いていくのを実感出来ていましたし、トレーナーさんからも「別人のように体つきが違う」と驚かれました。今までは体重の軽さで走っていましたが、今はしっかりと体を使って走る事が出来ています。さらに、疲労の回復が明らかに違います。練習して、ご飯を食べて、睡眠をとることで、翌日には疲労が取れており、練習を積むことが出来るようになっています。監督・コーチに怒られそうですが、以前よりも強度の高い練習をしていますが、全ての練習が「ラクに」感じるようになりました。コーチからも「走りが格段に良くなった」と言われるぐらい、調子も上がっており、自分の走りに安定感を感じています。
食べた物がちゃんと体に吸収され、必要な所に届けられ、リカバリーにも繋がっていると実感しています。今回の経験で腸を整える事は、長距離ランナーにおいても非常に大切だと感じています。
さらに、ヘモグロビン値も改善しました。元々貧血気味で、学生時代からヘモグロビン値が低いので、鉄分のサプリメントなどは服用していましたが、数値としての改善はあまり見られなかったです。しかし、グアーガム分解物と酪酸菌を摂取し始めてから、ヘモグロビン値も改善しました。排便の状況だけでなく、貧血も改善したのは驚きでした。今までは食べた物がすぐに出てしまい、栄養などが全然吸収出来ていなかったのですが、腸内環境が整うことで、栄養吸収も正しく出来るようになったのかなと思っています。ここまで様々な効果が出てくるとは思ってもいませんでしたが、以前よりも良いコンディションを維持できていますので、これからも取り入れていきたいと考えております。
学生アスリートの多くは腸内環境の大切さを知らず、食事の質よりも量を重視する傾向にあります。もっと、自分の腸を大切にすることで、コンディションの改善やパフォーマンスの向上も期待できると思いますので、多くのアスリートにグアーガム分解物を摂っていただきたいと思います。
色々な物を試すのも大事ですが、吸収の要である「腸」を整える大切さに気づいて頂きたいです。
Q.今後の展望をお聞かせ下さい!
【定方選手】
現在は、トラック種目(5000mや10000m)やハーフマラソンに取り組んでいますが、これからはマラソンをメインに、長い距離に取り組んでいきたいと考えております。そして、2025年には、世界陸上が東京で開催されますので、マラソンでの出場を目指しています。これからも応援宜しくお願い致します!