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医療・介護現場レポート
〜おひさま通信〜
おむつゼロ施設での自立支援介護の取り組み(多職種連携)
社会福祉法人恵生福祉会 特別養護老人ホームなぎさの里 様
社会福祉法人恵生福祉会 特別養護老人ホームなぎさの里(新潟県新潟市北区島見町4524-13)は、「自立支援介護」に取り組まれています。
施設に入所してもおむつをしない、なるべく寝たきりにさせないことがその人らしさを引き出し、尊厳を守ることにつながると考え、平成26年から新潟県老人福祉施設協議会が開催する介護力向上講習会に参加し、平成29年全入居者90名を対象に、「日中おむつゼロ」を達成されました。
今回は、ケア課長 粕川様・管理栄養士 小室様・看護主任 林様に取り組みについてお話を伺いました。
【ケア課長 粕川さん】
自立支援介護のきっかけ
おむつをすることで、ご利用者さんの元気がなくなる状態を多くみてきました。おむつの中で排泄を済ませてしまう状態が、ご利用者さんの尊厳が守られている生活なのかに疑問を持ち、おむつを外すことで元気になるのではないかと考えたのがきっかけでした。
おむつはずしを実現するために、国際医療福祉大学大学院 教授 竹内孝仁先生のブックレットをみんなで読み、排泄の自立についての知識をつけることからはじめました。その後、施設長が施設の方針として「自立支援介護」を掲げ、それと同時に新潟県老人福祉施設協議会主催の「介護力向上講習会」に参加し、平成26年より本格的な実践が始まりました。
【前列】管理栄養士 小室様(右)
看護師 曽我様(左)
【後列】看護師 石井様(右)
看護主任 林様(中央)
看護師 中西様(左)
【ケア課長 粕川さん 管理栄養士 小室さん 看護主任 林さん】
飲んでもらうための工夫
ご利用者ひとりひとりの水分摂取量を設定しています。水分を取る時間、飽きがこないように飲みものの種類を多くしたり、寒天ゼリーや飲む器、動いたら飲む、みんなで一緒に飲むなど、色々と工夫をしています。
また、水分摂取量が増え、まず一番変わってきたのは、尿路感染症が減ったのが印象的でした。また、発熱・肺炎なども少なくなりました。
【ケア課長 粕川さん】
接遇を大切にしています
施設では、接遇(あいさつ・身だしなみ・態度・言葉遣い)を大切にしています。声がけに対して、敬語を使うと抵抗される方や気分を害される方はほとんどいません。例えば「おじいちゃん、おばあちゃん」ではなく「名字+さん」とお呼びします。
また、運動・体操に誘う時「やらなきゃだめだよ」ではなく、「これから一緒に運動をしませんか。」と丁寧な言葉で話しかけるとうまく誘い出せます。トイレ誘導や食事するときなども、声がけ一つで、ご利用者様の普段の生活が変わってくるのをとても感じています。
言葉の乱れはケアの乱れにもつながっていきます。ケアの質を落とさないためにも言葉使いは大切にしています。
【看護主任 林さん】
下剤量の変化について
下剤を減らすことにはとても不安がありました。以前は、イレウスなどが気になり、マイナス3日で必ず便を出すように下剤を使用していました。
当初は、出なかったらどうするのと、反対している看護師もいましたが、ひとつずつ成功するなかで、職員がご利用者さんひとりひとりの排便サイクルを考えてくれるようになりました。
排泄に実際関わるのは、看護師と主に介護士です。便の形状・排便サイクルなどを情報交換しあい、「この方は定期的にでているのでお薬をやめてもいいですか」とドクターに相談しながら下剤を徐々に止めていきました。
また、薬の減量を行う過程で看護師側からではなく、介護士の方から、「この方、下剤をやめてもいいですか」と発言が出るようになり下剤減量とともに、スタッフ自身も変わっていきました。
水溶性食物繊維 PHGGを排便コントロールで活用

下剤を減らしながら腸内環境を改善する取組みの一環で、水溶性食物繊維 グアーガム分解物(以下、PHGG)を、お茶やお味噌汁、乳酸菌飲料の中に溶かして提供しています。
PHGGを飲むだけで改善される方もいらっしゃいますが、使用量は人によって違いますので、量の見直しをしながら、PHGGを増やしたり、乳酸菌飲料など発酵食品と組み合わせてみたりして工夫をしています。
【管理栄養士 小室さん】
食事面でかわったことは
排便がうまくいくと食事量も増えて、精神状態も安定してくる方も多くみられました。
体重も低体重から適正体重まで増えた方もいます。献立の中でも食物繊維などの食材を多く使用するように心がけ、おかゆやムース食よりも食物繊維が多い常食をすすめています。
また、入れ歯が合わない状況で、常食をすすめても、どうしても飲み込めなかったり、食物残渣が多くなり、誤嚥の危険性も高まるので、歯科医師さんに入れ歯の調整をお願いしています。
【ケア課長 粕川さん】
今後の取組み
昨年10月からパワーリビリテーションをはじめ、今現在40名くらいの方が利用しています。しっかり足が延びるようになったり、座位がしっかり取れるようになるなどADLが改善し、更なる自立の拡大に繋がるリハビリであると感じています。
また薬の副作用で便がでない、眠気が強く覚醒しない方もいらっしゃるかもしれないので、今後は、ご利用者さんが飲んでいる薬についても勉強し、見直しや減薬をしていきたいと思っています。
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おむつゼロ達成施設証明
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